骨盤の解剖学的見解は一体化した「骨」
骨盤をイメージしてみてください。大きな器のような白い骨が思い浮かびませんか?この「骨」の形が歪んでしまったら・・それは骨折しています(笑)と、いうのは半分冗談、半分本気で伝えたいことです。
ネットでおなじみwikipediaの説明です。どうやら骨盤は骨の集合体のようです。

仙骨(青)、寛骨(白。仙骨を挟み左右にある)
とありました。
注目すべきは、「骨盤」というものは骨が一体となっていることを指し、その骨盤周りに付随する靭帯や関節、筋肉といった組織とは分けて明記されている点です。
繰り返しになりますが、今一度確認してほしいのです。
「骨盤は歪む」の「歪む」と言われているのは、何が「歪む」とされているのか、を。
「骨盤とは?」で検索をするとウィキペディアよりも上に骨盤が歪むという記事があがってきます。
※1:骨盤輪とは仙骨と左右の寛骨が仙腸関節と恥骨結合で繋がっていて、上から見ると輪っかになっていることをさしています
開いて♪結んで♪ってどこにエビデンスがあるの?
「骨盤が開く、閉じる」の噂。一体出どころはどこなのでしょうか?「骨盤は時間や季節によって開いたり閉じたりしています」と書いてあるだけのことが多く、有識者と思えるような方からの情報発信なら、信じてしまいますから鵜呑みにしても仕方がありません。
ただ、冗談まじりで内田先生が「夜中の2時にレントゲンとってくれる病院あるのかな?24時間レントゲンを撮り続けてくれたエビデンスがあるなら欲しいな~」とおっしゃっていました。冗談ではあるけれど、少なくても内田先生は出産時の変化を除き時間や季節によっての「骨盤が開く、閉じる」には根拠も裏付け聞いたことがないということは事実としてお伝えできます。いい意味で情報を疑い調べてみる、というのはとても大切だと思います。
骨盤○○のクラスの在り方
骨盤セラピーに参加される生徒さんの中には「骨盤○○」というタイトルでクラスを行っている方がいらっしゃいます。参加動機は「果たして自分が伝えている情報は正しいのか」「効果があるのか自信がないため」という、とても正直で前向きなものばかり。先生と呼ばれる立場からの発言は、影響力が違います。危機感を抱くことは恥ずかしいことなんかではなく、むしろ責任感の現れだと思います。その中でヨガ解剖学を選んで頂けることはとても嬉しく思います。
「骨盤○○ヨガ」というタイトルで、今日からでも気を付けられることは、治療・完治を期待させる宣伝文句は避けるべきということにつきます。必ず避けなければなりません。もし、こうした宣伝文句を使うのであれば、自分のクラスに来てくれた生徒さんを、絶対にがっかりさせない責任のもとで行うべきです。(とはいえ、ヨガでできることの範囲は、治療・完治を約束できることではないことは前提として)
「体調を崩してしまってさ、全ての可能性を試したけど良くならないなと悩んでいる人が、あたかも『ヨガで治る』というような宣伝文句を見つけて、藁をも掴む気持ちで最後に辿り着いたのが誰かのヨガクラスだとするでしょ?
でも改善しない。
その時、ヨガ指導者の答えが『治せはしないんですよ』『チャクラ開いていないから』『人によって効果はバラつきがあります』なんてあまりにもひどいじゃないか。なんでこんな人を傷つけるようなことが起きてしまうんだろうね」
内田先生の切なる思いです。
ヨガ業界にはまだまだこうした誤解を招く伝わり方が多いのが現状です。その疑問をクリアにしていきたいと内田先生が話してくださったことがありました。少しずつでも一人ずつでも確実に伝え、変えていきたい、そう思うのは内田先生ご自身が体調不良改善のためにいろいろ試された経験によるものでした。
藁をも掴む思いで辿り着いた先にある絶望
内田先生は西洋医学に精通している一方で、経絡(けいらく)の学びは東洋医学そのものでした。説明がつかない人体の不思議も無きにしも非ず、不定愁訴(ふていしゅうそ:病名はつかないが調子が悪いこと)にこそヨガは有効だと内田先生は言います。
「藁をも掴む思い」とは内田先生ご自身の経験によるものでした。講師プロフィールに明記されていますが、不調を抱えていた時期に、健康にいいとされるものはありとあらゆること試したそうです。それこそ、食事をかえたり気功の達人を訪ねてみたり。「あの先生なら治してくれるよ」「この治療法なら絶対よくなる」そんな噂話をきいては試してみた結果、内田先生を待っていたのは治らない、良くならないという絶望でした。
「治るって言ったじゃないか・・・」
内田先生が辿り着いたのはヨガでした。説明がつかないこと、解剖学で説明がつくこと、その両者が混在しているヨガというものは、内田先生の不定愁訴を緩和していきました。
「ヨガは万能薬ではない。でも、確実に効果がある」
自分が経験したような残酷なことが起きてはならない。確実に効果があるからこそ、デタラメな情報で悲しい想いをする人が生まれてはいけない。内田先生が「骨盤は歪まない」と長年メッセージを伝え続けているのは、こうした想いからでした。
だからヨガ解剖学を内田先生は伝えています。医療に任せるべきことを理解把握ししっかりと線引きをする、その上で「ヨガが有効に働くことは何か?」を自覚し、クラスを行うことは大切なことです。
- 説明ができることは、誤解がないように説明する。
- わからないこと、できないことは正直に打ち明ける勇気を持つ。
- できることでお役にたてるベストを尽くす。
当たり前のように聞こえると思いますが、「骨盤が歪む」「歪みを矯正する」「歪みを治す」こうした言葉を見かけるうちは、当たり前が当たり前になってはいない、ということになります。
一人でも多くの方が、誤った情報に疑問を抱き、自ら避ける選択ができるように。
そのためには、現在ヨガに関わっている皆さまの発信がとてもとても重要な役割を担っています。
自分自身も、全ての生徒さんも、ヨガで絶望を抱かないように「正しことは正しく伝える」意識を持ちましょう。そのために解剖学はとても強力な根拠となります。「『それは、言葉の綾だよ』では許されないんだ」という内田先生の強い想いに共感して下さる方が一人でも多くいらっしゃれば幸いです。
前編後編に分けた第三話はここまで☆
内田先生の熱い想いを伝えたくて、私が立場を忘れて説教じみた文章を書いてしまいました・・・(すいませんm(__)m)
今回も長文にお付き合い頂きありがとうございます。
次回はいよいよ最終話。
「とても感動しました!」参加して頂いた生徒さんがお声がけくださった言葉と共に、「骨盤が歪む」情報に対し、ネットではなく講座という形で正していこうとしている内田先生の姿勢についてをお伝えします♪