アナトミックヨガ最終月 ”母ちゃん”の無償の愛

こんにちは、さかたのりこです。

毎年5月のアナトミックヨガのテーマは「母の月」。

「みんなは頑張れる。なぜなら”お母さんの子”だから!」
とても苦しいいつもの90分も、5月は先生のこの言葉に奮い立たせられて、いつも以上の力を振り絞る生徒たち。
お母さんへ目一杯の「ありがとう」と「ごめんね」をアーサナに乗せて、涙を汗で隠します。

今年はある冬の日の出来事があっての5月。先生からはどんな言葉がかけられるでしょうか。

お母さまと一緒に撮影を。

2017年1月。3年ほど企画だけで滞っていた「シニアヨガ指導者養成講座」を、今年こそは本格的に形にしていこうと、ヨガジェネレーションにて打ち合わせがありました。

常日頃、インストラクター達に「お母さんだと思って接するんだよ!」と声をかける内田先生。その人間味のある温かさを、講座の軸にしようという話となり
「テキストの表紙は、先生と先生のお母さまが、日向ぼっこしながらおにぎり食べているような、ほのぼのした写真にしませんか!」という提案をさせていただきました。
「実は僕もそんなテイストにしていきたいと思っていたんだ!」

さっそく日程を調整。
ところが昨年の暮れから不調を抱えていた内田先生の左眼が、思いの外深刻な状態であることがわかり、手術と入院を優先することに。撮影の日取りは延期されることになりました。
 

無償の愛…「風邪は大丈夫かい?」

” 術後は1週間うつ伏せ、眼球は上に向けてはいけない、一切の寝返りも禁止 “という過酷な条件を課された入院生活で、一気に体力の落ちた内田先生。二人暮らしする母親には心配をかけまいと、入院の数日間は出張に出かけたふりをしてお母さまには内緒にしていました。
けれど退院後、自宅に戻ってすぐお母さまは、先生の異変に気づかれたそうです。

「何かあったんじゃないかい?」と。

確かに先生の免疫力は落ちていました。退院後に拗らせた風邪はおよそ1ヶ月も長引くことに。
2月の内田先生は、広島や大阪への出張も含めて、ほとんど家には戻らない強行スケジュールが控えていました。わずかに許された母親との過ごす時間。
その時、先生もお母さまの異変に気付かされます。いつもよりどこか食欲がない、日付があやふや、食べ物をこぼす…

もしかして…と不安を抱えたまま、大阪行きの新幹線に乗る直前に電話をかけたお母様の声は、すでに呂律が回らないほどに病が進行していました。

「母ちゃん!いますぐ救急車を呼んでよ!お願いだから!」

実はお母さまはその日の朝、すでにご自身で一度病院に行っていました。
「画像には梗塞は写っていません。老人性のてんかんでしょう。と診断され、帰宅された後のこの会話。 
 

だからこそ、どんなに説得をしても、「大丈夫だから。」と拒むお母さま。

いつだって頑なな気性で時代を乗り越えてきた人だから、新幹線が遠ざかるほど、先生の叫びも虚しさに変っていきます。

電話を切る間際に交わした会話は、
たどたどしい口元から「風邪は大丈夫かい?」と、それでも先生を気遣うお母様の一言、
そして先生の無言の涙でした。

つづく…。

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