「おい、のりちゃん!この光景、写真に残しておいてよ!シニアのテキストに載せたいくらいだ!」
今年の4月下旬。シニアヨガのイメージ写真と、内田先生の宣材写真の撮影がありました。
シニアのモデルに起用していただいた私の母の体調を気遣って、カメラマンさん、MIKIZOさん、内田先生、そしてグッチが、わざわざ母の自宅近くを撮影場所に選んでくださいました。
内田先生の撮影にかかった1時間ほど、年老いた母を相手に寄り添って話し相手になってくれていたグッチ。
その姿に、内田先生が感動されたのです。
「グッチにこそ、シニアヨガを伝えて欲しいよ!」と。
なぜ先生はそのように思われたのでしょうか…。
シニアの世界は、とても小さい。
初開催となったシニアヨガ養成講座の2日目の夜。ちょうどNHKで高齢者の生活についての特集が放送されていました。
そこに登場した71歳の女性がこう話していました。
「私はこの家で、この猫ちゃんと、一緒に暮らしていければそれで満足です。」
高齢者といえどもまだまだ70代、ですが生活の中心が家の中となると、少なからず体力は落ちていくはずです。
「みんななら、この女性にどうやってヨガを勧める?」
講座の最終日、生徒たちに向けて先生が問いかけました。家の中で十分幸せという方に対し、どうしたら”運動しよう!”というモチベーションを持っていただけるでしょうか。
Hopeは何か?
御多分に洩れず、私の母もヨガを始めてもらうまでには時間がかかりました。
やる気を起こしてもらうためにかけた誘い文句も、耳から耳へと抜けて行きました。
■しっかり歩けるようになって、またハワイにでも行こうよ!といえば
「いつ血圧上がっちゃうかわからないから、もうハワイはいいよ。」と言い、
■じゃあ、プレミアムアウトレットでまた買い物しようよ!
と言っても、いちいち理由をつけて外出を避けました。
一日中、韓国ドラマを見ている方が幸せだ、と。
60代までは、もっといろんなところに出かけに行っていたはずなのに、体力が落ち、痛みがあると、ここまで住む世界が小さくなるのか。
そして…
■ホテルにご馳走でも食べに行こうか…!と誘ったときです。
「あのね、何しろこの丸い背中を人に見られるのが嫌なんだよ…丸い背中をどうにかしたいよ。」とぼそっとこぼしました。
え?そこ?
そうとなったら私の出番!と言いたいところですが、
こんなに近くにいながらも、外出を嫌がる本当の理由を聞き出せるまで、ずいぶん時間がかかってしまったことは大きな反省であり、大切な学びとなりました。
内田先生がなぜあの時、グッチの姿を絶賛したのか?
おそらく身長差は20cm近くあるでしょう、グッチと母。ですがグッチは自分の背中をウンと丸めて、母とできるだけ視線を合わせるように座っています。
背中を丸めて、同じ高さで物を見ること、それが私にもできていたならば、もっと早くに本当の悩みを聞き出せていたかもしれません。
そして、グッチの右側には、ベンチのスペースが残っています。にもかかわらずグッチは、極力母に近づき寄り添い、両手を膝に置き、母の懐にスッと潜り込むようにして、小さな世界の中で会話をしていました。
シニアヨガのテキストには、こんな一節があります。
それを知るはずもないグッチですが、母を「ママ〜っ」と人懐っこく呼んでいました(笑)。
この撮影から数日後、母がなんと、こんなことを口にしたのです。
「グッチに会いたいな〜。あの子、優しくていい子だね〜。祐天寺に行けば会えるのかい?」
体調を気遣われて、みんなに来てもらったほどの母なのに、祐天寺にまで行こうかと。
「あなたに会いたいから、ヨガしに来たよ!」
小さな世界から一歩踏み出してもらうために、インストラクターにとって一番大切なことを、グッチは知っていて、内田先生は嬉しくなったのかと思います。
もしもグッチが、オハナスマイルで「グッチのシニアヨガ」なんていうクラスを開催したらならば
たくさんのファンがやってくるかもせんね!