ヨガ業界の「怪我」が注目されニュースにもなったのは今から一年ほど前のこと。ヨガ指導における安全への注意喚起と保険制度の導入、スタジオごとの方針の統一などひとつ、また一つ、と対策ができ始めています。
ヨガ業界において、早くから怪我への注意喚起を行ってきたヨガ解剖学講師内田かつのり先生。
「えっ・・・ヘッドスタンドの首にかかる負担、リスクがわかっててその練習をつづけているの・・!?」
内田先生がヨガ業界に入って間もなく出くわしたクラスでの一コマ。その時こそ、内田先生が「ヨガ業界の解剖学事情を変えたい!」という熱い想いがこみ上げた瞬間でした。
怪我にまつわる恐怖の質問責めが噂になっていた!?
長年続いてきた「怪我をしない、させない」という講座は、2019年、内容を一新し3テーマに分けて生まれ変わりました。その名も「ヨガ×怪我・疾患総合講座」。少し堅苦しいタイトルになりました(笑)。
でも、ご心配なく。講座を通してヒアリングしてきたリアルなニーズに、今まで以上に応えられるような内容にリニューアルした形となりますので、より丁寧により親切にかゆいところに手を届かせるリニューアルです。
ただ、変わらずに少し厳しく伝えたいこともあります。
それは、「”先生”と呼ばれる立場であることの自覚と心構え」です。「怪我をしない、させない」の講座に参加した方、特に初期のころの方は思い当たることがあると思います。一時期は、「あの講座はめっちゃ怖い」と噂が流れたほどです。
例えばこんな話。
生徒さん「足首を捻挫した人が来た時にはどうしたらいいですか?」
内田先生「先に質問していいですか?」
生徒さん「はい。」
内田先生「捻挫ってなんですか?」
生徒さん「あ・・えぇと・・・・」
言葉に詰まる生徒さん。
内田先生「じゃあ、質問を変えますね。なぜ捻挫だとわかったんですか?」
生徒さん「足首をくじいたと聞いたので」
内田先生「くじいたら捻挫なんですか?」
生徒さん「・・・・いや、そうではないと思います」
内田先生「では、なぜ捻挫という言葉をつかったのですか?」
生徒さん「捻挫じゃないかもしれないけど・・・怪我してるのかなっておもったんです!」
クラス中が凍り付き始めます・・・・
内田先生「捻挫はおいときましょうか。怪我をしているとおもったんですね?」
生徒さん「はい。少し動かすと痛いと言っていたので。」
内田先生「もう一つ、質問していいですか?」
生徒さん「な・・なんでしょうか?」
内田先生「怪我ってなんですか?」
生徒さん「・・・・・(沈黙)。」
内田先生「まずは医師の診断があるかを確認することが先ではないですか?」
生徒さん「・・・はい。その通りです。すいません・・」
内田先生「病院に行ったかどうかはもちろん確認したんですよね?」
生徒さん「いえ。そこまで気が回らなくて・・・」
クラスが完全に凍っています・・・(暖房つけたいくらいにキンキンです・・)
内田先生「捻挫じゃなかったら対応を変えることはできますか?」
生徒さん「いいえ、できません・・・」
内田先生「そしたら正しくは『足をくじいて痛がっている生徒さんがきたらどうしたらいいか』と質問してくれるべきだったのではないですか?」
生徒さん「・・・はい。その通りです。」
内田先生「それで、その時はどのように対応したの?」(←空気を察して少し口調を和らげる先生(笑))
生徒さん「あ、はい。痛くない程度に無理はしないでくださいね、とお伝えして参加して頂きました。」
内田先生「最後にもう一つだけ質問してもいいですか?」
生徒さん「・・・・・はい・・・・」(←嫌な予感しかしていない様子)
内田先生「『無理はしない』とは具体的にどうすればいいんですか?」(←再び目に火がつく先生・・)
「無理の基準はなんですか?少しでも痛かったらその生徒さんは座っているだけでこのクラスに参加してもらったことになるのですか?勢いあまって無理をしてしまった場合は責任がとれるんですか?生徒さんが無理をしているかどうかは見てわかりますか?無理の基準は生徒さんの責任ですか?もしくは・・・・」
そこまで~~~~~!!!!!!!!!!
もう勘弁して~(T . T)
思い出しながら書いているだけで、心がゾワゾワしてきます・・・苦笑
時間にしたらたった5分くらいのやり取りだったかと思います。でも、当時は永遠に感じるくらいの緊張感がクラスに漂っていました。
決して意地悪でこのようなやり取りをしていたわけではありません。いつしか「あの講座はまじで怖い」と噂が広まってしまっていたようですが・・苦笑
しばらくして「質問されてもいいか」のアンケートをとるようになり、最近ではこのようなことはしておりませんのでご安心を。
ただ、講座だからこそ思う存分恥をかいていい場所であり、現場ではこうして指摘してくれる人はいません。生徒さんは「先生」の発言が素直に受け止めてしまうものです。その発言が正しいことなのか、生徒さんにとって適切であるか、を感じてもらうための時間でした。
伝え続けた想い「心構え」
やり取りがひと段落した時、内田先生がガラっと空気を変えて、メッセージを送っていました。
「厳しく追及してしまってごめんよ。勇気をだして発言してくれてありがとう。集まってくれたみんなにたくさん考えるきっかけをくれたね。(拍手~!)
僕がずっと皆さんの側にいてあげらるわけではありません。現場に立ったら皆さんが『先生』なんです。その時の自分の発言の重さを十分に自覚していてほしいんだ。
いま、「捻挫」というキーワードを出してくれました。確かに捻挫ってわからないな、そう思ってくれるだけでも大きな気づきだと思うんだ。考えたことなかったでしょ?でもそれって本当に危険なことなんだよ。腰痛だろうと、膝が痛いだろうと、なんとなく会話をやり過ごしてしまっていることないかな?
その判断が間違っているだけで、ヨガでできることがあるかないかなんて、180度変わってしまうんだ。
まずはそこから。
怪我を予防することや、ヨガにおける怪我を考えることは、自分の立ち居振る舞いから見直してもらいたくて、こんな厳しくて楽しくもない時間をとらせてもらいました。ほんとにごめんね!!気を取り直して次にいこうか^^」
私が初めて怪我をしない、させないという講座にお邪魔したとき、頭に浮かんだのは二つの言葉でした。
- 先生と呼ばれる自覚
- 無知の知
ヨガインストラクターという立場になると、「先生」と呼ばれる責任の重さから「NO」や「知りません」は言ってはいけないと思い込んでしまうことはないでしょうか?
「『ごめんなさい』『分かりません』『教えて頂けますか?』
知ったかぶりをして、その場をやり過ごすよりも、素直ごめんなさいをして、コミュニケーションをとるほうが、ずっと信頼できるヨガインストラクターではないかと僕は思うんだ」
内田先生の言葉です。
心構えとして知っていてほしいのは先生と呼ばれる立場の発言には責任がともなうということです。もしくは自分の発言やおこないが、生徒さんに与える影響は大きいということです。だからこそ、正しく伝えられるべきことは正しく伝え、曖昧なことはしったかぶりをせず、素直にごめんなさいをして学ぶ姿勢を怠らないことが大切なのだと、内田先生は本講座のメッセージとして伝えています。
信頼関係に届かせる怪我講座
内田先生のこの想いはリニューアルしたからといってかわることはありません。 より具体的にどうしたらよいかというノウハウを、皆さんに受け取って頂きやすい形にしてお伝えしていければと思います。
答えに困る質問、怪我をした方への対応、安全なクラスをおこなうためのノウハウ、実際に怪我を抱えている方への対応・・・・
ヨガインストラクターの頭の中をもたげる不安はつきることはありません。
だからこそ、内田先生の講座がリニューアルしました。
ヨガインストラクターを守るため、生徒さんを守るため、より信頼関係を築くためにできることを、「ヨガ×怪我」で頭の中がいっぱいになる不安を取り除くために、できる限りのノウハウを皆さまにお伝え出来るような新講座として。
ぜひお時間あったら、お越し頂ければ幸いです。
いよいよ2019年4月11日(木)東京初開催です☆